2016.05.14更新

「このたび知人が全株式を持っている会社を引き継いで,

 

事業を継続したいと思っています。

 

株式を全て引き継ぐにあたり,

 

相手の会社が行政の許認可などを全て取得しているのか不安で,

 

もし引き継いだ後に許認可がないことが判明したら,

 

その知人に責任を追及したいのですが,

 

どのようにすればよいのでしょうか」

 

 

 

このような会社で,条件もそろっているから,

 

こういうことでやっていこうと思って,

 

いざ会社を引き継いでみたら,

 

中身が話した内容と全然違った

 

このようなことがないように,

 

売買の条件を明示し,それが達成されていない場合に,

 

売主に責任を負わせることを

 

「表明保証」

 

といいます。

 

 

 

例えば,

 

相手の事業が行政の許認可があって初めてできることなのにその許認可がなかった

 

株式譲渡に株主総会や取締役会の承諾が必要なのに,その手続がなかった

 

売主が株主だと思っていたら,本当の株主は別にいた

 

そのほかにも,「こうだと思ったから買ったのに」という事情は,

 

きちんと契約書で明文化して,

 

それが守られなかった場合の売主の責任を明記するようにします

 

 

 

それでは,実際にその表明保証に反した場合に,

 

売主にどのような責任を負わせられるのか

 

過剰な責任は不合理なものとして否定をされる可能性が高くなります

 

例えば,建築会社の株式を売買する際に,

 

特定の設備が整備されていることを表明保証で明記していたとしても,

 

その設備は一般的に必要な程度であればよく,

 

ハイテクの最新鋭の設備までを請求できるわけではありません

 

 

 

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投稿者: 弁護士 野澤哲也

2016.05.13更新

「当社は,

 

創業者一族が過半数の株式をもって経営していますが,

 

一部外部の者が株式を持っています。

 

これまで10年ほど,

 

取締役の報酬を総会決議を経ずに支給していました。

 

このたび,外部の株主から,

 

定款に違反した報酬支給だとして返還訴訟を起こされました。

 

私の勉強不足で確かに定款に違反していましたが,

 

その後株主総会を開き,

 

過去分も合わせて追認の決議をしました。

 

後からの決議では意味はないのでしょうか」

 

 

 

取締役などの役員は,

 

株主総会の決議によって選任及び解任されます。

 

そして,その報酬も

 

株主総会の決議によって決まることとされています。

 

取締役が自分の報酬を自分たちで決定するとなれば,

 

自分たちに有利に決定してしまいますし,

 

そのことで,会社=株主が損害を受けることになるからです

 

 

 

冒頭のケースでは,

 

そのようなルールが見過ごされていました。

 

定款に反する報酬支給ですが,

 

そのままでは違法な支給となってしまいます。

 

 

 

そんなとき株主総会がその事実を認め,

 

過去の報酬支給について,後付でそれを認める・認めない

 

と決議することがあります

 

「認めない」となれば,

 

当然,過去のものは清算することになります。

 

それでは「認める」とした場合には,

 

後から違法な支給を適法にできるのでしょうか

 

 

 

結論として,

 

このような「追認」は可能

 

であるとされています。

 

株主総会が後から議論をして,追認したものまで,

 

違法にする理由はないからです。

 

ただし,実際に争われた事案では

 

「取締役のお手盛り防止という趣旨を没却しない限り」追認は認められる,

 

という最高裁判所の意見がありました

 

その具体的内容は今後の課題となりますが,

 

取締役が会社を犠牲にして自分の利益を得ようと意図したような場合で,

 

少数株主保護にも照らして,

 

後から株主総会で多数決に追認したとしても,

 

会社の利益が害されると判断される場合などが考えられます

 

 

 

違法な報酬支給について,

 

後から株主総会で追認する場合には,

 

違法支給の経緯について考慮した上で,

 

適切に対応をする必要があります

 

 

 

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投稿者: 弁護士 野澤哲也

2016.05.11更新

「親が亡くなり,

 

兄弟3人での遺産分割協議もまとまらないため,

 

銀行預金の3分の1を先に引き出そうと思って,

 

銀行に問い合わせたら,

 

兄弟全員の同意書が必要だといって,

 

払戻しに応じてくれません。

 

兄弟間では協力を得られない状況なので,

 

とても困っています。」

 

 

 

兄弟3人だけが相続人であれば,

 

法律が定める各人の相続分は3分の1ずつです。

 

裁判所に行くと,

 

遺産が銀行預金だけの場合には,

 

簡単に分割できるので,

 

遺産分割調停さえ受け付けてくれません

 

だからといって,

 

銀行に行って,一人で分割請求をすると,

 

拒否されてしまう

 

このようなケースが頻繁に起こっていました。

 

これに対し,近時,

 

一律の拒否の対応は銀行の不法行為になる

 

との裁判例が出てきました

 

 

 

銀行としては,

 

払い戻した後に遺言が出てきたり,

 

遺産分割がされたりすると権利関係が異なってきます。

 

そうして紛争に巻き込まれないよう,

 

兄弟全員の同意書をほしいといってくるのです

 

単に調査できることを要求するのはOKですが,

 

それがないと払戻に応じられないと言って,

 

払い戻しを困難にすれば権利侵害になる

 

それが銀行に不法行為を認める理由です。

 

 

 

ですから,冒頭のケースでも,

 

「遺言書がないですか」

 

「遺産分割はされていませんか」

 

という程度の質問があり,

 

答える程度で,

 

銀行は払い戻しに応じなくてはなりません。

 

それ以上に抵抗して,

 

「兄弟全員の同意書がないとダメ」

 

とすれば不法行為になると考えられます

 

 

 

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2016.05.03更新

「私の会社は学習塾を経営しておりますが、

 

先日退職した従業員が当社近くに別の学習塾を設立し、

 

生徒を大幅に奪われ、

 

売上が大幅に減少しました。

 

どうやら当社退職後すぐに準備をして、

 

生徒や保護者にも転校を呼びかけていたようです。

 

この元従業員を訴えることはできますでしょうか。」

 

 

 

一般的に,労働者は,

 

在職中は,会社の職務に専念し、

 

会社の利益を守る義務(競業避止義務)が生じます。

 

ですから,この義務に違反して,

 

会社に不利益を与えた場合には,

 

その責任を取らなければなりません。

 

 

 

もし,学習塾の講師が,

 

まだ在職中から設立のための準備を始めていたとしたら

 

それで,

 

在職中に生徒や保護者に声をかけて転校させた

 

としたら,その違法性は大きくなります。

 

これで会社の売上が落ちたとなれば,

 

それはその講師の責任となる可能性が高くなります。

 

その場合には,

 

奪われた売上や経費などが損害

 

として認められることになります

 

 

 

それでは、本件のように,

 

退職後に準備をして,

 

そのときの生徒や保護者に声をかけていたとしたら

 

どうでしょうか?

 

退職から時間が経過していなければ

 

在職時にしたものと同様の責任を負う可能性があります

 

その場合,その講師は,

 

前の会社の直接のノウハウや経営資源などを利用して

 

利益を図り,

 

前の会社に不利益を与えたと言えるからです。

 

 

 

労働問題については,

 

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→関連するブログ

 「退職したら同業他社に就職できない?」 

 

 

 

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投稿者: 弁護士 野澤哲也

2016.05.02更新

「私は先日会社を退社しましたが、

 

退社する際に誓約書を書かされ、

 

『退職後は同業他社には就職しない』

 

と約束をさせられました。

 

これまで同じような仕事ばかりをしてきて、

 

同業他社に転職できないというのは困るのですが、

 

一生同業他社への就職ができなくなってしまうのでしょうか」

 

 

 

一度,会社に入ると,

 

その間は職務専念義務

 

会社の利益を守る義務(競業避止義務)

 

が生じますので,

 

同業他社への就職は,

 

一般的にその義務違反になります

 

 

 

それでは,会社を退職した後にまで,

 

同業他社になぜ就職するなと言ってくるのか

 

多くの場合,その理由は,

 

会社で知り得たノウハウや知識を生かして,

 

同業他社(=ライバル社)で働かれると,

 

前の会社が不利益を受ける恐れが高いからです。

 

特に専門的な職務を任されていた場合には,

 

それが顕著になります。

 

 

 

不正競争防止法などで,

 

専門知識をスパイのように他社に漏らした場合には

 

責任を負う事になっています

 

それ以上に,就職自体を禁止することは,

 

その人の仕事を奪うことになりかねません

 

憲法でも,個人に職業選択の自由が与えられています。

 

そこで,業務の内容などにより,

 

一時的に制限することは許されると考えられています

 

例えば,

 

半年から2年程度は許容される可能性があります

 

しかし,あくまで

 

制限することに意味があるかがポイン

 

になってきます。

 

 

 

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